「崩された失点ではない」から考える <br />サッカーの<言葉><常識><セオリー>の盲点【岩政大樹――現役目線】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「崩された失点ではない」から考える 
サッカーの<言葉><常識><セオリー>の盲点【岩政大樹――現役目線】

「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦

■「常識」と思っていることは「常識」ではなく、そこにチャンスがある

 それは、チーム、あるいは選手によってそれぞれだと思いますが、個人的には、そうしたときに突破口になりやすいと思っているのが、「常識」を逆手に取ったプレーです。

 例えば、カマタマーレでの試合で突破口となったのがクリア、ロングボールでしたが、決してそれは偶然ではありません。
 クリアやロングボールというのは苦し紛れに逃げるプレーというイメージで、最近の日本サッカーの風潮ではそれをすること自体、タブーとされることもあるプレーです。それが「常識」となってきていると言えます。しかし、サッカーにおいて常識といわれるようなことは得てして、ピッチの上での常識とイコールではありません。その勘違いに突破口が生まれるのです。

 確かに、クリアやロングボールは一度、相手にボールを渡してしまうプレーになりがちです。それを何の意図もなく何度も繰り返せば、それはネガティブな要素となります。しかし、相手に一度ボールを渡したように見えるだけで、クリアやロングボールは蹴るポイントによっては、まだルーズボールの状態になります。しかし、「マイボールになった」と思った相手選手は、敵がボールを保持した時よりも、守備に対する集中が途切れる瞬間になります。

「崩す、崩される」の局面では保たれていた集中が、クリアやロングボールを重要視しない「常識」によって、一瞬、途切れがちになるのです。相手がスキを与えてくれないなら、常識を利用するような発想の転換もサッカーの一部だと思います。

 これまでも何度か指摘してきましたが、サッカーには想像力が必要です。考えれば考えるほど、サッカーの奥深さに直面することになります。
 そこに正解はありません。当たり前は当たり前ではありません。ベテランと言われる歳になった僕も、自分の中のセオリーを書き換える作業はいつまでも続いています。
 勝ったときに何が良かったのか、負けたときに何が悪かったのか。

 ぜひ皆さんも、言葉に惑わされることなく、様々な角度から「あーでもない。こーでもない」とサッカーを語ってみてほしいと思います。

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岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


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